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sitemaster さんの日記

 
2020
10月 6
(火)
11:02
折れない心を育てる
本文
10月の聖句:いかに楽しいことでしよう 主に感謝をささげることは 詩編92編2

国連児童基金(ユニセフ)は、先進・新興国38カ国に住む子どもの幸福度を調査した報告書を先日公表しました。それによると、日本の子どもは、「身体的健康」では第1位ですが、生活満足度の低さ、自殺率の高さから「精神的健康」が38か国中37位と最低レベルで、経済的には比較的恵まれていても、学校のいじめや家庭内の不和などを理由に幸福を感じていない実態が明らかになりました。教育評論家の尾木直樹さんは、日本の学校現場を「いじめ地獄」と表現し、偏差値偏重による受験競争過熱も相まって「子どもの自己肯定感が低く、幸福感が育たないのは必然的だ」と指摘しています。

国連にも同じような幸福度調査がありますが、幸福度調査の上位には、北欧の諸国が並んでいます。「福祉国家」という社会体制にも大きな違いがありますが、幸福度の高さには、「教育」や「子育て」も大きく関係しているようです。

先日、デンマークの子育ての本を読みました。その本の中で、デンマークで大切にしていることを6つのポイントでまとめています。「遊ぶ」「ありのままを見る」「視点を変える」「共感力」「叩かない」「仲間と心地よくつながる」の6つです。

「レゴブロック」や「グリム童話」で有名なデンマークですが、本を読んで、デンマークでも「遊ぶ」ということをとても大切にしていることがわかりました。友達と「遊ぶ」ことで「協力すること」「交渉すること」「自制すること」「ストレスに対処する力」などを学ぶと言います。まさに「折れない心」を養える大切な要素が「遊び」なのです。

以前クラス担任をしていた時、それまで家庭にいて、年中のクラスから保育園で預かることになったお子さんがいました。「戦隊もの」が大好きで、入園前は一日何時間も戦隊物のDVDを見ては、空中に映る?怪獣や敵といつも戦っているようなお子さんでした。保育所に入所してからも、正義の味方になりきって、勝手に友達を「悪者」と見立ててかかっていくのですが、何せ実践力はないので、あっという間に返り討ちにあいます。バーチャルでのイメージと、実際の友達とのやり取りは、大きく違っているのです。ある日、その子がやはり返り討ちにあった後、少し涙目で、俳優さながらの大声で、「Sちゃんは本当は強いんだー!」と空に向かって叫んでいたことが忘れられない記憶として残っています。そんなことを繰り返しながら、やがて保育園の遊びや文化にも慣れ始め、Sちゃんのたたかいごっこは、次第に影を潜めていきました。友達と協力し、同じイメージで遊べるようになっていきました。何度も何度も、実際にくりかえし友達とかかわる中で、心を強くし、大切な力を身に着けていったのだと思います。

友達との遊びは、本当に多くの力を養います。おもちゃの取り合いでは、自分の欲しいと思う欲求と、相手の気持ちとを調整しなくてはなりません。ごっこ遊びでは同じイメージを共有しながら遊ばなければ、楽しいごっこ遊びは成立しません。まさに「協力」「交渉」「自制」を学んでいくのです。

子どもたちが将来にわたって、折れない心を身に着けていけるように、しっかり友達とかかわり、主張したり、譲り合ったり、協力したりしながらの遊びを大切にしていきたいと思います。
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